ドボドボ画像です。自己紹介はこちら。今回のテーマはこちら。「米国株が下落した時にやってはいけないこと参戦」です。
2020年のコロナショックでは久しぶりに暴落がきましたね。最近投資を始めた人は肝を冷やしたのではないでしょうか。SNSでもいろいろな声が見られました。「赤字に耐えられずNISAを解約した」「買い時だと思って全力投資したらもっと下がった」など、動揺した人も少なくなかったと思います。世界的な下落相場でしたからニュースもそれ一色でしたね。それでもS&P 500や全世界株式は1年もたたずに見事に回復しました。驚異的なV字回復でしたね。
一方で、一部の銘柄は2021年末現在でも下落が続いています。例えばエネルギーセクターは2014年からの下落トレンドが続いていますし、アルファベットは2020年10月から下げ続けています。このような下げ相場が続いた時はどのように考え、どのように行動したらよいでしょうか。今回の記事では、下げ相場の例、下落時にやってはいけないこと参戦、下落前にやる事、下落時にやるべきことについてご紹介します。
予期せぬ状況に慌てて行動することは、より悪い方向に事態を進めてしまいがちです。逆に、長く続く損失が苦しくなり放置してしまうと状況がさらに悪化することもあります。下落した時にはどうすればよいかを知り、ピンチをチャンスに変えていきたいですね。それではさっそく学んでいきましょう。今日もよろしくお願いします。
まずは下げ相場の例を見てみましょう。こちらはS&P 500指数について2015年から2021年まで7年間のチャートです。右の方でコロナショックが起きていることが分かりますね。皆さんも記憶に新しいでしょう。S&P 500指数は2020年2月に最高値を付けた後、3月には約35%も下落しました。近年には大きな下落も少なかったので久々の動揺でしたね。しかし、コロナショックは下げ幅こそ大きかったですが、期間としては短かったです。下落自体は2月から3月の1ヵ月しか続かず、V字回復を始めました。これまでの経済危機の中で最短といってもよいでしょう。
次に比較として、長く辛い下げ相場の例も見てみます。こちらは同じくS&P 500についてリーマンショック前後のチャートです。期間は2007年から2013年までで、先ほどと同じく7年間です。左のほうでリーマンショックが起きていることが分かりますね。この時は最大56%も下落し、最高値を更新するまでに約6年間もかかりました。また、下落を始めたのは2007年10月で、底値をつけたのは2009年3月です。そこに到達するまで1年半も下げ続けました。1ヵ月で底をつけたコロナショックと比べると大変長いですね。
この頃に投資をしていたらどうなっていたでしょうか。連日のように株価が下がり、含み損はどんどん大きくなっていきます。サブプライムローン問題やリーマンブラザーズの倒産などショッキングなニュースが続きました。世間は混乱して悲観的なムードになっていきましたね。1年半も下げ続けるとやはり不安になってくる人が多かったことでしょう。保有していた株をすべて売ってしまった人もたくさんいました。下落相場が長く続くと心理的な影響は大変大きくなりますね。また仕事がなくなってしまい生活に困窮する方も出ました。下落相場は日常にも影響を与える可能性があるということですね。
ここで少し見方を変えてみましょう。コロナショックとリーマンショックは世界的な金融危機でした。社会全体や投資をしていたほとんどの人がダメージを受けたため、ある意味仕方ないと割り切ることもできたでしょう。一方で、一部の人だけが下落相場に遭遇するという状況もあります。世間の相場は好調なのに、自分の銘柄だけが下がり続けているということです。たとえば次のグラフはS&P 500とヴァンガードエネルギーセクターETFの比較です。黒がS&P 500、青がエネルギーセクターで期間は2014年から2021年です。S&P 500が上昇傾向なのに対し、エネルギーセクターは8年もの間下落を続けてきました。エネルギーセクターにその当時投資した人は、もっと伸びると見込んでいたでしょう。しかしながら結果的には総合指数に劣後しました。自分の見立てや選球眼に疑いを持ってしまうかもしれませんね。
これはエネルギーセクターがダメだと言いたいのではなく、どのような投資信託や個別株でも起こりうることだということを確認したいのです。今をときめく巨大テック企業もいつか勢いを失うかもしれません。これまで好調だった米国株もいつか下落が続くかもしれません。このような下落相場で何をやってはいけないか、あるいは何をするべきか、ここからはそれについてご紹介していきます。
全力投資
ここでの全力投資とは現金のほとんどを投資に突っ込んでしまうことを指します。キャッシュポジションの割合を低くするということですね。公開に例えると、嵐の中で全力前進するようなものです。ただでさえ取り巻く状況が目まぐるしく変化する中、リスクを高めにいくことは大変危険です。確かに一時的な下落局面は目当ての銘柄を安く仕込むチャンスでもあります。しかし、下落がいつまで続くのかそこがどこで止まるのか誰にも予測はできません。
「ここが底だ」と思いキャッシュポジションすべてを株に変えてしまう、さらには生活防衛資金として貯めておいたお金まで突っ込んでしまう。このような投資の仕方はかなりリスクの高い行動と言えるでしょう。そうは言ってもお得なタイミングを見逃すわけにはいかないだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ここで投資の格言を一つご紹介します。「もうはまだなり、まだはもうなり」。もうそこでだろうという時はまだ落ちる、まだ下がるだろうという時はもう下がらないといった意味の言葉です。
もうそこでだろうと思ったときには、まだ先があるという可能性を考えておきましょう。多くの場合、そこからさらに下落するものです。もし早まって全力投資すると、さらなる下落が来ても追加投資できない歯がゆい思いをすることになります。それと同時に含み損がどんどん拡大していきます。資産が減っていく苦しみを味わうかもしれません。こういった苦しみに耐えられなくなり、途中で投資そのものをやめてしまう人もいます。その結果、損失だけが残り、美味しいところを逃す可能性も高くなりますね。
株式投資において重要なことは相場に居続けることです。嵐の中での全力前進は避け、安全な航海を続けたいですね。
狼狽売り
狼狽売りを公開に例えると、もうダメだと思って反射的に船から飛び降りるようなイメージです。もう少し待っていれば船の中で安全にやり過ごせたかもしれません。しかし結局一番ひどい時に飛び降りてしまうということですね。これから船が沈没するだろうからとりあえず今のうちに逃げておく。もし船が無事だったらその時はまた戻ればいいだろう。そう思われるかもしれません。しかし一度降りた船にまた戻ることは想像以上に難しいものです。
戻ろうと思った時には、乗っていた船は遠く離れたところまで進んでいるかもしれません。まだ下がると思っていたのに、あれよあれよという間に株価が回復してしまった。そんなことも珍しくありませんね。まさに「まだはもうなり」ということです。名著『敗者のゲーム』にもこんな言葉があります。「投資家は稲妻の輝く瞬間にマーケットに居合わせなければならない」。本書では72年の投資期間中、ベスト5日を逃すだけで利益が半減すると示されています。
激しい下落に遭遇してパニックになり株式を手放してしまう。そうすると最大の上げ相場に参加する機会を失うことになるかもしれません。下落相場に当たったとき、感情的衝動的に売買することは避けた方が良いですね。安い時に売り、高いときに買うという最悪のパターンもありえます。現在の状況をよく確認し、しっかりと考えた上で行動すると良いでしょう。
情報に振り回される
情報に振り回されるとは公開に例えると、周りの船の動きに振り回されるようなものです。自分の船は転覆しないように警戒しているのに、周りの船がどんどん先に進んでいる。あるいは自分の船はまだ大丈夫だと思うけど、周りの船はどんどん人が逃げ出している。自分が周りと違う行動をとっていると不安になってきますよね。しかし、自分と他人の船は違うのです。
例えば目的地や船の種類、船の大きさ、積んでいる装備、船長の経験など何もかも違うかもしれません。それなのに深く考えずに同じ行動をとるのはリスクが高いですね。もしかしたら隣の船長は自分よりもずっと経験が豊富かもしれません。別の船はもしかしたら船底に穴が開いているのかもしれません。投資でも同様に、周囲の行動は参考にはなりますが、それぞれ前提や背景が異なります。
自分にとって適切な行動は自分で考えていく必要があるのですね。また情報収集のためと言ってSNSや掲示板に張り付きすぎることも避けた方が良いでしょう。どうしても周りの意見に流されてしまう可能性が高くなってきます。特に相場が大きく動く場面では極端な意見も多くなります。この会社はもう駄目だという悲観的な意見や、今は下がりすぎだから絶対反発するという楽観的な意見など、プラスにもマイナスにも触れやすいのですね。
こういった意見を長く聞いていると不安になったり、反対に気が大きくなったりします。そうすると全力投資や狼狽売りにつながりやすくなります。また、SNSが気になって仕事やプライベートに影響を与えることもありますね。人の意見は参考程度にとどめて、自分なりの考えで判断していくと良いでしょう。報酬はみんなと逆のことをした方が結果が出るパターンもあります。普段から話を聞いて参考にすべき人、そうでない人を自分の相性とも考えながら見極めて備えたいですね。
航路を決める
航海に出る前に目的地と航路を明確にしておきましょう。目的としては例えば次のようなものが挙げられます。老後のために長期的に資産を増やしたい、ファイアーするためにキャッシュフローを増やしたい、次に目的を達成するための方法を考えます。老後の資産形成が目的であればインデックスファンドへの積立投資、キャッシュフローを確保したいのであれば高配当銘柄へ投資するなどですね。アセットアロケーションとポートフォリオの決定と言い換えてもよいでしょう。
既に投資を始めている人も手法が目的に合っているか、この機会に改めて確認してみると良いですね。
ルールを決める
目的地と大まかな航路が決まったらルールを決めましょう。嵐、つまり下落相場に直面してからでは冷静な判断が難しくなります。またその場で慌ててもできることが限られているものです。事前にさまざまな状況を想定して具体的なルールを決めておく。そうすることで、想定外の事態を減らし安心できますね。具体的には以下の内容についてルールを決めると良いでしょう。
見直しの条件とタイミング
例えば、どの程度の下落があった場合にポートフォリオを見直すか、どのタイミングで見直すかを決めておきます。市場全体の動向や自分のリスク許容度に応じて設定することが大切です。
売買の基準
売買の基準を明確にしておくことで、感情的な売買を避けることができます。例えば、「10%下落するたびに10万円ずつ追加購入する」といった具体的なルールを設定します。
リバランスの方法
ポートフォリオのバランスを保つために、どのタイミングでリバランスを行うか、どの程度の比率で行うかを決めておきます。これにより、リスクを適切に管理することができます。
これらはほんの一例です。他人のルールは参考にはなりますが、自分に適しているとは限りません。自分なりの軸や考えがないと、下落相場が続いた時にブレてしまうでしょう。そのルールがいかに腹落ちするか、下落相場ではそれが試されます。自分の投資目的や投資対象に思い描いているストーリーを基に自分で決めていきましょう。
と言ってもどのように決めていけばよいか、最初は迷うかもしれません。投資の目的とルールについて、こちらの動画でも解説していますので参考にしてみてください。この動画では決めるべきルールについて投資方針書をご紹介しました。ルールは一度設定したとしても時間が経つと忘れてしまいがちです。下落相場で見返せるよう明文化しておくと良いですね。またルールを決めるにあたっては、相場が下落した場合に資産がどの程度まで減るかについてあらかじめシミュレーションしておくと良いでしょう。
収入の安定化と複線化
また下落前、つまり日常においては投資だけに頼らない収入源を確保することも大切です。一般的には給料や労働収入が該当するでしょう。安定した収入があるからこそ投資でリスクを取れるのですね。また暴落中、雇用が不安定になりリストラが増えることも多いです。フリーランスや自営業の場合、仕事が減ることもあるでしょう。もし可能ならば副業や事業を多角化して収