まずは自己紹介をさせていただきます。このブログでは、私の長年の株式投資の経験を基に、皆さんが投資を始める際に役立つ情報を提供しています。今回のテーマは「40代以上がやってはいけない投資5選」です。

誰でもできる投資の基本は、一つ目は時間を味方につけること、二つ目は右肩上がりの株式インデックス連動商品にコツコツと入金していくことです。しかし、これらの基本を実践する際、年齢によって考慮すべき点が異なります。投資には「出口」があり、仮にその出口を70歳としましょう。現在20代の人と40代の人では出口までの時間が異なります。40代の人の方が投資できる時間が短いわけです。また、年代によって考慮すべきライフイベントも異なります。ですから、取り組むことは同じでも考慮すべきことは年代によって違うのです。

このブログでは、40代以上の方が考慮すべきライフイベントを挙げつつ、避けた方がいい投資についてお話しします。早速共に学んでいきましょう。

40代以上の方が置かれている環境を把握しましょう

現在40代の方は1970年代後半から1980年代初頭にかけて生まれた方ですね。内閣府の令和4年版少子化社会対策アクションを見てみると、2010年前後の初婚年齢は概ね30歳ぐらいと読み取れます。つまり現在40代の方は30歳前後で結婚して、その3年後ぐらいに親になっている方が多いということです。同時に、現在小学生から中学生ぐらいのお子さんがいらっしゃる40代の方が多いということです。

このような40代の方をモデルに今後のライフイベントを想定しています。まず想定しなければいけないのはお子さんの教育費です。

教育費の目安を知っておきましょう

日本政策金融公庫が毎年実施している教育費負担の実態調査結果を見てみます。2021年の調査結果では、高校以降の大学文系では約952万円、大学理系では約1083万円が平均的な数字です。ざっくり言えば、高校から大学卒業までに1000万円の教育費が発生するということです。

近年、特に理系に進学すると大学院でも学ぶことが少なくないようです。子供の意志次第ではさらに費用が増える想定をしておくべき家庭もあるでしょう。この高校から大学までの教育費が家計に占める割合は概ね1割から3割になります。家計の中に占める割合としては非常に高いですね。

教育費の出費の特徴

教育費には2つの特徴があります。一つは出費の時期が概ね予想できることです。子供が15歳の時や18歳の時に必要になるとあらかじめ予想できます。もう一つは大抵の場合、現金で払わなければいけないことです。入学金や授業料は現金で振り込まなければいけないことが多いです。

近年は高校3年の秋ぐらいに進学先が明らかになり、早い段階で入学金等を収めなければならないこともあるようです。大学等への進学を考慮する場合は、高校2年終了時に資金の目処を付けておきたいですね。よって、子供の教育費は投資の資金とは分離して、減らない金融商品で用意したいものです。

50代におけるライフイベントと老後資金の準備

現在、小学生か中学生のお子さんの教育に目処がつく頃、ご自身は50代になっていることが多いです。50代で考慮しておきたいのは言うまでもなく自分たちの老後です。そろそろ公的年金の金額の目安がわかってきます。

50歳以降の年金定期便はそれまでのものとは異なります。払込状況が変化しないことを前提とした将来の受給目安が掲載されます。なお、年金定期便に掲載される金額は公的年金の金額のみです。勤務先等に企業年金制度がある場合は加味されていないことをご理解ください。また、運用状況や払込保険料によって受給金額見込みは毎年変化します。毎年届く都度必ず確認したいですね。

この公的年金受給見込み金額と他の資産と自分たちの生活費を照らし合わせ、老後の生活設計をすることになります。

老後資金の設計と生活費の把握

老後2000万円問題は公的年金等の収入と生活費の差のトータルの目安でした。しかし、その金額は必ずしもどの家庭でも同じではありません。老後資金の設計には自分たちの生活費の把握が大事です。月別であれば1000円単位程度で構いません。自分たちの生活費がわかるようにしておきましょう。

その把握の方法についてはタパゾーの著書『僕が子供に教えている1億円の作り方』の第2章に掲載しています。ぜひご参照ください。

親との関係を意識する

50代に意識しておきたいことがもう一つあります。それは自分たちの親との関係です。親のお金事情を把握しておき、老いた親の将来を親と一緒に考えておくと良いでしょう。そのプロセスは自分が老いた時に役立つ経験になるはずです。

さて、40代で小学生から中学生のお子さんがいらっしゃるモデルを想定してみました。この時期はしばらくは大きな出費機会が多いです。そのため、投資に向ける入金力が相対的に落ちる時期ですが、余裕資金での投資も非常に大事です。この取り組みが自分たちの老後を少し楽にしてくれることでしょう。

40代以上がやってはいけない投資

40代以上がやってはいけない投資を挙げます。

使う予定がある資金を投じる投資

タパゾーは動画や著書で何度も申し上げていますが、投資は余剰資金でやるものです。裏を返すと、余剰資金がない人はやらない方がいいでしょう。余剰資金の定義を確認しましょう。全金融資産から生活費で最低半年分プラス子どもの将来の教育費を引いたものです。

生活費半年分プラス子どもの将来の教育費を生活防衛資金と呼ぶことにします。生活防衛資金が足りていない状態で投資をやるのは、テントや食料を持たずに何もない場所でキャンプをするようなものかもしれません。装備不足のキャンプで天候が悪化するなどして身動きが取れなくなったら困りますよね。生活防衛資金を削るような投資はリスクがあることを知っておきたいですね。

極端に高いリターンを追求した投資

私の基本をもう一度思い出しましょう。リターンが高いと期待される金融商品はリスクも高いです。リスクとは値動きの大きさのことです。振り子の振れ幅が小さいか大きいかを想像していただけるとわかりやすいです。

高いリターンを追求すると、資産が減る可能性も大きくなるということです。最初の方で申し上げた通り、40代以上は多くの出費が見込まれる年代です。想定外の出費が発生することもあるかもしれません。例えば、子供が留学することになったとか、大学院へ進学することになったような場合です。

ですから、資産が大きく減る可能性もある極端に高いリターンの追求はおすすめできません。投資と耳にすると、ついApple株を買ってみたいと思ってしまうかもしれません。いわゆる個別株投資ですね。しかし、個別株投資はインデックス投資ほど容易ではありません。銘柄を選択する必要があります。そのためには、ある程度の知識、情報、株価をチェックする手間が必要です。

リターンを得るためには経験値が必要ですし、センスも求められます。もちろん決算チェックも必要ですね。タパゾーが投資の初心者さんに常々S&P500連動商品をおすすめしているのは、はっきりとした理由があります。他の金融商品と比較した時に、リターンもリスクもほどほどで誰でもできるからです。

レバレッジを使った商品

レバレッジはテコを表す英語です。小さな力で大きなものを動かすことができる仕組みを指します。投資の世界でのレバレッジは、借り入れを利用することで自己資金のリターンを高める効果が期待できることを指します。レバレッジを利かせるということは大きなリターンを期待できますが、反面大損するリスクも高くなります。

レバレッジを使った代表的なものは為替証拠金取引(FX)やいわゆるレバナスですね。レバナスについてはタパゾーの他の動画でもすでにご紹介しています。レバレッジを使ってナスダック100という株価指数の2倍の値動きになるように設計されたものです。上昇するときも2倍の動きになりますが、下落するときも2倍の動きになります。

最近は東京証券取引所のETFにもレバレッジを効かせた商品があります。日本でもレバレッジはポピュラーになりました。チャートはダイワアセットマネジメントが運用するアイフリーレバレッジナスダック100という投資信託の値動きです。いわゆるレバナスの一つです。

ナスダック100は2021年末にかけて米国のハイテク企業の株価上昇により驚異的な上昇をしました。レバナスはその値動きの2倍ですから基準価格が非常に大きく上昇しました。この値動きが話題を呼び、レバナスを購入する人が増えました。2022年のナスダック100の下落局面では2倍の値動きで下落しました。1年で半分ぐらいになったのです。

これがレバレッジを使った商品の光と影です。タパゾーはレバレッジを否定しません。上手に使っている人はたくさんいます。しかし、1年で半分になってしまうかもしれない金融商品は、40代以上の出費が多い時期にコアにするには向いていません。もっと余裕がある資金が増えてからチャレンジしても遅くないでしょう。

暗号資産の取引

言葉ぐらいは聞いたことがある方も多いと思います。代表的な暗号資産にはビットコインやイーサリアムがあります。日本銀行によれば、暗号資産はインターネット上でやり取りできる財産的価値を持つものです。資金決済に関する法律において、特定のものに対して代金の支払い等に利用できる日本円や米ドルなどの法定通貨と相互に交換できる電子的に記録され移転できる法定通貨またはプリペイドカードなどの法定通貨立ての資産ではないという性質を持つものと定義されています。

ビットコインのチャートを見てみましょう。2021年11月は最高値6万5000ドルに近い水準でした。それから1年で一時16000ドルを割り込む水準まで下落しました。その値動きの激しさは実はレバナス以上です。

暗号資産には米ドルや円、ユーロなどの通貨とは大きな違いがあります。国家やその中央銀行によって発行された法定通貨ではありません。持っているだけでは金利はつきません。また、ゴールドなどのような裏付け資産もありません。その値動きの激しさは、資金を入れる人を選ぶということです。万人向けではないと考えています。

変額保険への加入

変額保険は払い込んだ保険料を運用した結果に応じて将来受け取る保険金や、保険を解約した時に受け取る解約返戻金が増減する生命保険です。変額の逆の言葉は定額です。定額保険は保険会社が契約者から預かった保険料を国債などで安定的に運用しています。リスクの小さい運用を前提とした保険設計をしています。保険会社はあらかじめ将来の保険金や解約返戻金の額を約束することができます。

一方で変額保険は、株式や債券など投資商品を用いて保険料を運用する保険です。受け取る保険金額は運用の結果次第です。保険金変動リスクも契約者が負わなければなりません。ただし、あくまでも保険なので死亡保険金には最低保障が設けられています。

変額保険には主に3つの種類があります。勇気型、終身型、年金型です。詳しくは割愛しますが、代表的な勇気型の仕組みについてはこちらの図を参照してください。

変額保険を40代以上におすすめしない理由をお話しします。変額保険は変額というくらいなので、満期保険金や解約返戻金の最低額を保証しています。しかし、運用状況や解約のタイミングによっては、受け取るお金が払い込んだ保険料の総額を大きく下回ってしまうこともあります。これだけなら投資信託などの金融商品と大差ありません。

しかし変額保険には投資信託などとは大きく異なる点があります。投資信託では信託報酬などの一部のコストを除き、払い込んだ金額のすべてが運用されます。一方変額保険は保険という性質も兼ね備えたものです。ですから運用のコストだけでなく、保障に対してのコストも発生します。そうでなければ保険会社が収益を得られません。つまり、払い込んだ保険料すべてが株や債券などで運用されるわけではありません。

また、加入後一定期間内にお金が必要になって解約する場合は、手元に戻るお金が少なくなる商品が多いです。解約控除という費用が発生する商品が多いからです。解約控除は投資信託で言えば信託財産留保額のようなものです。ただ、解約控除の規模は信託財産留保額より大きい場合が多いです。加入後一定期間というのはおおむね契約から7年から10年前後です。

死亡保険金の最低保障がある点はメリットでもあります。しかし、単純に資産運用が目的の場合にはコストの面で投資信託の方が有利です。死亡保障が欲しいなら、その保障を相対的に低いリスクで得られる定額保険が良いでしょう。資産運用をしたいなら投資信託やETFで良いと考えます。将来のライフイベントがまだいくつも想定される40代50代

By kazuya