こんにちは、投資家の皆様。今回は、超高配当利回りのETFである「QYLD」について詳しく解説します。株式投資において高配当といえば、皆さんはどれくらいの配当利回りを思い浮かべるでしょうか?一般的には3%から5%が高配当株とされますが、今回ご紹介するQYLDは直近12カ月の分配金利回りが14%にも達しています。

この驚異的な利回りを持つQYLDについて「本当に大丈夫なの?」と思われる方も多いでしょう。そこで、この記事ではQYLDの仕組み、メリット・デメリット、投資の仕方などをわかりやすく解説していきます。

それでは、さっそく一緒に学んでいきましょう。

QYLDの概要

QYLD(Global X NASDAQ 100 Covered Call ETF)は、2013年12月11日に設定されたETFで、運用会社はグローバルXです。保有銘柄数は102銘柄で、運用資産残高は62億ドル、そして12カ月分配金利回りは14.1%にも達しています。分配頻度は毎月です。

QYLDが組み入れる銘柄は、米国のNASDAQ 100指数に連動するETF「QQQ」とほぼ同じです。NASDAQ 100指数は、時価総額上位100社の加重平均によって算出される指数で、IT、通信サービス、一般消費財などのセクターが大半を占めています。組み入れ上位銘柄には、Apple、Microsoft、Amazon、Googleなど、アメリカを代表する大企業が名を連ねています。

オプション取引とは?

QYLDの高分配の仕組みを理解するためには、「オプション取引」について知る必要があります。オプション取引とは、特定の価格で特定の商品を将来のある時点で売買する権利を取引することです。これには「コールオプション」と「プットオプション」という2つの主要な権利があります。

コールオプションは「買う権利」、プットオプションは「売る権利」を指します。オプション取引には次の4つのタイプがあります:

1. コールの買い
2. コールの売り
3. プットの買い
4. プットの売り

例えば、あるお寿司屋さんが、年末に向けてマグロの価格が上昇すると予測した場合、その価格上昇を見越して「コールオプション」を購入することができます。一方、マグロの卸売業者は「コールオプション」を売ることで、将来の価格上昇リスクを回避できます。

QYLDのカバードコール戦略

QYLDのカバードコール戦略は、次の2つのステップで構成されています:

1. NASDAQ 100の現物株式を保有する
2. コールオプションを販売する

この戦略により、QYLDはオプションプレミアムを獲得します。具体例を見てみましょう:

QYLDがNASDAQ 100の株式を100万円で購入し、1カ月後に100万円で売る権利を3万円で販売します。1カ月後にNASDAQ 100が110万円に値上がりした場合でも、QYLDは約束通り100万円で売る義務があります。この場合、QYLDが得るのは100万円とオプションプレミアムの3万円、合計103万円です。

一方、NASDAQ 100が90万円に値下がりした場合、権利保有者は市場で90万円で購入するため、オプション権利を行使しません。この場合、QYLDは90万円とオプションプレミアムの3万円、合計93万円を獲得します。

AT THE MONEY方式のカバードコール

QYLDのカバードコール戦略の特徴的な点は、AT THE MONEY(ATM)方式でコールオプションを売却することです。これは、オプション取引で市場価格と権利行使価格が等しい状態を指します。

この方式により、QYLDはNASDAQ 100の値上がり益を享受せず、オプションプレミアムだけを利益とします。そのため、QYLDの基準価額は上がりにくく、分配金利回りが高くなる仕組みです。

オプション料の決定方法

QYLDのオプション料は、NASDAQ 100のボラティリティに連動しています。ボラティリティが高ければ高いほど、オプション料も高くなります。例えば、2020年のコロナショック時には、NASDAQ 100のボラティリティが急上昇し、QYLDのオプション料も6%以上に達しました。

ただし、QYLDのオプション料が高くなったとしても、そのすべてが投資家に還元されるわけではありません。オプション収益はファンドの純資産総額の1%を上限として分配されます。残ったオプション料は再投資されます。

QYLDのメリットとデメリット

QYLDのメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット

1. 高分配金利回り:10%以上の分配金を得られる可能性があります。
2. 毎月分配金を受け取れる:毎月のキャッシュフローが安定します。

デメリット

1. 値上がり益を見込めない:株価の上昇によるリターンは期待できません。
2. 手数料が高い:経費率が0.6%と他の高配当ETFに比べて高めです。
3. 株価下落時のリスク:株価が下がると分配金も減少する可能性があります。

QYLDが向いている人

QYLDが向いているのは次のような方です:

1. NASDAQの成長に確信がある人:NASDAQ 100に上場しているハイテク企業の成長を信じている人。
2. 毎月分配金を得たい人:毎月のキャッシュフローが欲しい人。
3. 資産成長よりもキャッシュを重視する人:セミリタイヤやファイアーを目指している人。

QYLDの投資の仕方

QYLDに投資する際のポイントは次の3つです。

1. 過去のチャートとレンジを確認する:過去の株価推移を確認し、リスクを理解する。
2. コア・サテライト戦略を採用する:資産の1割から2割をQYLDに投資し、残りはVOOやVTI、VYMなどに分散投資する。
3. 現物中心のシンプルな投資方法を心がける:リスクを抑えつつ、毎月のキャッシュフローを確保する。

関連する質問と回答

Q1: QYLDの高配当利回りはどのように実現されているのですか?

QYLDの高配当利回りは、カバードコール戦略を採用することで実現されています。具体的には、NASDAQ 100株式を保有し、その上でコールオプションを売ることでオプションプレミアムを獲得し、その収益を分配金として投資家に還元しています。

Q2: QYLDの投資リスクは何ですか?

QYLDの主なリスクは、株価の値上がり益が見込めないこと、経費率が高いこと、そして株価が下落した場合に分配金が減少する可能性があることです。

Q3: QYLDはどのような投資家に向いていますか?

QYLDは、NASDAQ 100の成長に確信があり、毎月の分配金を得たい投資家、そして資産成長よりも安定したキャッシュフローを重視する投資家に向いています。

Q4: QYLDの分配金はどのように課税されますか?

QYLDの分配金は、米国の税法に基づき課税されます。米国非居住者である日本の投資家には現地課税が適用され、その後日本国内での課税が行われます。

Q5: QYLDの今後の見通しはどうですか?

QYLDの将来の見通しは、NASDAQ 100指数のパフォーマンスと市場のボラティリティに大きく依存します。ハイテク企業が引き続き成長し、ボラティリティが高い状況が続く限り、QYLDの分配金利回りは高水準を維持する可能性があります。

以上がQYLDについての解説です。投資の基本は、理解できるものに投資することです。QYLDに投資を検討している方は、その仕組みやリスクを十分に理解したうえで判断してください。皆さんの投資活動が成功することを願っています。

By kazuya