不動産投資に興味がある方へ、今回は米国株での不動産投資、特にREIT(不動産投資信託)について詳しく解説します。REITを活用することで、少額から不動産投資が可能となり、分散投資を通じてリスクを抑えつつリターンを狙う方法についてもご紹介します。
Contents分散投資としての不動産
資産運用のリスクを抑えるための基本は分散投資です。分散投資には大きく分けて時間の分散と対象の分散があります。時間の分散は購入する時期を分散させることで、ドルコスト平均法が代表的な方法です。この方法のメリットは市場の変動リスクを避けられることです。
対象の分散は、値動きの異なる資産に投資対象を分散させることです。例えば、株式、債券、金、不動産などが挙げられます。値動きの異なる資産を組み合わせることで、資産全体の変動をマイルドにしながら、安定的なリターンを狙うことができます。
実際のデータを見てみると、不動産価格と株式価格には相関性があるものの、必ずしも同じ動きをするわけではありません。例えば、2008年のリーマンショックの際には日経平均株価が約50%も下落しましたが、不動産価格の下落幅は約5%と小さかったです。このように、株価と不動産価格の動きは必ずしも一致しないため、分散投資の効果が期待できます。
手軽な不動産投資:REIT
不動産投資は魅力的ですが、現物の不動産は非常に高額です。そこで手軽な不動産投資の手段としてREIT(不動産投資信託)があります。REITを活用することで、1万円台という少額から不動産への投資が可能になります。
REITは不動産投資を専門に行う会社が資金を集め、それを基に不動産を購入・運営し、得られた賃料収入や不動産の譲渡益を投資家に分配する仕組みです。投資家はREITを通じて間接的に不動産のオーナーになれるということです。
REITには競技のREIT(個別REIT)と広義のREIT(REIT ETF)があります。個別REITは特定の業種や地域に特化したものが多く、例えば住宅やオフィス、ホテルなどに投資することができます。一方、REIT ETFは複数の個別REITを組み合わせた詰め合わせパッケージ商品で、分散が効いています。
米国REIT市場の成長
REIT市場を世界的な視点から見てみると、米国の市場が非常に大きいことがわかります。2014年には世界のREIT市場に占める米国の割合は36%でしたが、2021年には約41%まで増加しています。7年間で米国のREIT市場が大きく成長していることがわかります。
米国のREIT市場が成長した理由として、中興住宅マーケットの成長やIT産業の発展が挙げられます。これによりエネルギー資源や通信基地など多くの不動産が必要となり、需要が高まっています。このように、米国のREIT市場は世界的に見ても有力な投資対象と言えるでしょう。
REITと現物不動産の違い
REITと現物不動産にはそれぞれメリットとデメリットがあります。まず、投資対象の違いを見てみましょう。現物不動産に投資する場合、主に個人向けの住宅が主な投資対象となりますが、金額が大きいため商業ビルやホテルへの投資は難しいです。一方、個別REITは様々な業種に特化したものを選択でき、商業ビルやホテルにも投資が可能です。
次に分散の観点を考えてみると、現物不動産は資産額が大きいため、一軒ごとに多額の資金を投入することになります。これに対し、REITは複数の物件に分散投資が可能で、リスクを分散することができます。特にREIT ETFは、さらに分散が効いているため、リスク低減の効果が高いと言えます。
米国REIT ETFのおすすめ銘柄
初心者におすすめの米国REIT ETFとして、以下の3つの銘柄があります。
1. IYR (iShares米国不動産ETF)
2. RWR (SPDRダウ・ジョーンズREIT ETF)
3. 1659 (iShares米国REIT ETF)
これらのETFは、日本の証券会社でも購入可能です。それぞれの違いについて見ていきましょう。
まず、購入時の通貨ですが、IYRとRWRはドル建て、1659は円建てです。普段からドルで株式を購入している人はIYRかRWRが良いでしょう。一方、円建てで投資したい場合は1659が買いやすいです。
次に経費率ですが、IYRは0.41%、RWRと1659は約0.2%と低いです。米国の不動産に広く分散して投資でき、手間もかからないと考えれば、この経費率は許容範囲内と言えます。
最後に、分配金利回りを見てみると、IYRは1.7%、RWRは3.03%、1659は1.57%です。分配金を重視するならRWRが魅力的ですが、IYRや1659も成長性を重視する場合には良い選択肢です。
買ってはいけないREITの特徴
REITの中には避けるべき商品もあります。その特徴は以下の2つです。
1. 毎月分配型
2. 為替ヘッジあり
毎月分配型のREITは、高い分配金を謳いながら元本を削っている場合があります。このような商品は、売却時に元本が減少していることが多く、分配金を加えても赤字になる可能性があります。長期的な資産形成を目指す場合には避けるべきです。
また、為替ヘッジありの商品は、為替リスクを小さくする代わりに手数料がかかり、投資効率が下がります。長期投資では為替リスクは購買力平価に収束することが多いため、為替ヘッジは必要ない場合が多いです。
関連する質問と回答
Q1: REITと現物不動産のどちらが初心者向きですか?
A1: 初心者にはREITが向いています。少額から始められ、分散が効いており、管理の手間も不要なためです。
Q2: REITの分配金はどのように課税されますか?
A2: REITの分配金は、通常の所得税と住民税が課されます。また、売却益にはキャピタルゲイン税がかかります。
Q3: 米国REIT ETFのリスクは何ですか?
A3: 米国REIT ETFの主なリスクは、株式市場の変動リスク、為替リスク、金利リスクなどです。特に不況時には大きく値下がりすることがあります。
Q4: 為替ヘッジのメリットとデメリットは何ですか?
A4: 為替ヘッジのメリットは、為替変動リスクを回避できることです。しかし、その分手数料がかかり、投資効率が下がるデメリットがあります。
Q5: REIT ETFの選び方のポイントは何ですか?
A5: REIT ETFを選ぶ際には、経費率、分配金利回り、分散度合い、純資産総額などを考慮することが重要です。また、過去のトータルリターンも参考にすると良いでしょう。
以上、今回は米国株での不動産投資、特にREITについて詳しく解説しました。資産運用のリスクを抑えつつ、効率的に資産を増やすための参考にしていただければ幸いです。